潜入!コンテナ船 衝撃の事実 Vol.1

Ma Jolie Fille Pinotsqué > Philosophy > 潜入!コンテナ船 衝撃の事実 Vol.1

アリゲーター ウィズダム パナマックス型 2852TEU 全長245m

22人の乗務員を乗せて、もうじきオークランド港から東京港へ出港する商船三井所属パナマ船籍(船籍に関してはVol. 4で詳しく解説します)のコンテナ船がこの日の取材先。この船はミディアムサイズ、大きいものは300mの長さになるといいます。 「パナマックス型」とはパナマ運河を航行できる大きさを、そして「TEU」はTwenty Foot Equivalent Unit (20フィートコンテナに匹敵する大きさ) をあらわしています。つまり彼女は、20フィートコンテナ2852個分を積載することができるわけです。 彼女?といぶかしく思われた方、ついでに英語のレッスンもしてしまいましょう。英語で船の指示代名詞は必ず「SHE」。「IT」とは言いません。例外なしです。

東京の大井埠頭に該当するサンフランシスコの玄関港がオークランド。 TVのニュースでしか見たことのない貨物ターミナルに足をふみいれ、 バースやコンテナの大きさに圧倒されている私に、まず最初に手渡されたものは頭部を護る白い作業用ヘルメットとオレンジのベスト。 結構なスピードで行き交う、大きいフォークリフトにひかれないよう身を守らねばなりません。働いている人達も大きな体躯の男性ばかり。 しかし!ここでひるんでいる場合ではない…。いざ出陣!

初回はまずアウトラインからご説明しましょう。「カットオフ」と呼ばれるコンテナ船に積載する貨物の〆切りは出港日前日の夕方。それまでに港に運び込まないと次の船にまわされてしまうので、どのトラッカーも必死の形相でターミナルに飛びこんできます。 東京行きの船は毎週木曜日に出港。約9日間をかけ月曜日の午前8時前後に大井埠頭に到着、というのがスタンダードな日程。 船長室に迎えられ、キャプテン自ら航路を説明してくれました。 オークランドを出た船は北上しアラスカ沖をぬけ、北海道へ向けて南下というルートをたどります。 ちなみに航空機も同じルート。何故かと言うと… 地球は丸いので、直線距離にするとこのルートが最短距離なんですね。

オークランド – シアトル ‐ アラスカ ‐ ダッチハーバー ‐ アリューシャン列島 に そって カムチャッカ – 北海道 – 茨城
日立 – 大井埠頭

余談ですが、西海岸はアラスカ海流がおりてきているので水温が低く、一年中カキが食べられます。(ジモティのお気に入りは、「ミヤギ」 「クマモト」という日本名のついた小粒のカキ。) 夏でも水着のままで泳いでいると体が冷え切ってしまい10分ともちません。この海風がサンパブロ湾から吹き上げてくるので、ナパの有名な局地気候は湾に近い南(カネロス地区など)ほど冷涼な気候、そして北上して 内陸部(カリストガ地区)に行くほど暑くなるわけです。 カリフォルニアの海風というのは非常に冷たく、コーストラインはハンギングピリオドの長さが特徴。サンフランシスコよりずっと南に位置するセントラルコーストは、カリフォルニアの中でも収穫が一番遅いのです、ご存知でしたか?初めてかの地を訪れた時「南に行くんだ!」とおもいっきりリゾート気分のいでたちで出かけ、あまりの寒さに鳥肌( goose bumps = グースバンプスと言います。チキンスキンではありません)がたち、とても後悔したことを覚えています。 アラスカとハワイの近辺では海水に相当の温度差があるのでは?と思いがちですが、さにあらず。 多少の差はあっても、商船航路の海水面は世界中平均して15℃前後(60°F)。「アンダーデッキ」の中でも【Sea Level = 喫水線】がベストといわれる所以です。 ただし緯度の差による海の状態はかなり異なり、通年緯度40度付近はいつも波が荒く一番の難所とのこと。

米国発の船には、ワインをはじめとして農産物(野菜・果物)や古紙などが、そして日本発米国着の船には電化製品が積まれているのが一般的です。 けしてカラの船が航海することはありません。 ここでワイン業界ではかびすましい混載扱いか、フルコンテナか…の問題が出てくるわけです。

★業界用語で言われる
【LCL = Less than Container Load = 混載】
【FCL = Full Container Load = フルコン or ワンコン(フルコンテナー or ワンコンテナーの略)】
★リーファーコンテナの定義と、船内の様子
★品質管理に大きく差が出る【運賃同盟船&盟外船】 などなどまだまだ続きます!

~つづく~

Pinotsquéのワインが「旨い」ワケに戻る