What's New! Vol.27 『白熱!バレルオークション速報』

「$1000」「$1200」「$1400」……「$9500」「$10,000!」
「落札おめでとうございます!YOU WIN!あなたのものです!」 
オークショニエーの声が場内に響き渡ると同時に聞こえる、どよめきと歓声。 グラスを片手にリラックスした雰囲気の中にも、眼孔するどく、目当てのワイナリー を落とそうと狙うトレーダー達…。

ここは、熱気に包まれた、プロが集まるバレル・オークション会場です。 マスタード(菜の花)が咲き乱れ、雨季もようやく終焉を迎えようとしているナパ。 ワイナリー銀座、29号線沿いのヴィンヤード一帯は、黄色い絨毯が 敷き詰められた、美しい光景が広がっています。

今年で5回目を迎え、早くも「冬の風物詩」となりつつある 「プレミア・ナパ・バレー」。 NVVA(ナパ・ヴァレー・ヴィントナーズ・アソシエーション)が主催する、 輸出入業者や問屋、レストラン経営者、小売業など、プロだけが集まる バレル単位のオークションです。

もちろん99年に収穫された葡萄は、まだ樽の中で熟成されている真最中。 プロはこのオークション会場で、熟成途中のワインを試飲し、出来上がりの 善し悪しを推測し、自分のものにしていくのです。 場所はCIA(Culinary Institute of America)、 アメリカでも屈指のプロフェッショナル・シェフのための料理学校。 この一角には、ワイナスペクテーターが運営するレストランも併設されています。

NVVAに加盟する中から120のワイナリーが、各々自慢のヴァラエタルのブレンドを この日のためにしつらえ、万全の体制で臨んだ2001年。 収益金は、チャリティではなく、NVVAの運営資金にあてられます。 各ワイナリーとも、NVVAに対する 純然たる寄付ではあるけれど、トレーダー達に アピールする絶好の機会も兼ねているので、当然力が入ります。

ビバ!のイチオシ、ロバート・クレイグは、自分達のラインナップ総出のブレンド。 アフィニティ50%、マウントヴィーダー30%、そしてハウエルマウンテン20% これがまた、ウマイ!落札価格、だいたい$3000〜$9000が相場の中で、 大台にのった納得の$10,000 !ちなみにもうひとつのビバ!のイチオシ、 リストウも$10,000の大台こえてた…みんな、舌が肥えてるじゃない〜(笑)

スタッグ スリープは、、プティシラー、グレナッシェ、カリニィヤンなど ローヌ産品種ブレンド。 フローラ スプリングスは、なんとサンジョヴェーゼ、カベルネ、メルローの ブレンドをやってのけてました。

↑遊び心も手伝って、正規にリリースするものとは、異なるブレンドを 用意する蔵が目立つのも、このオークションの特徴です。 普段目にすることのできないワインが 樽ごと登場するので、吐き出すはずの雫を 興奮のあまり、結構飲み込んでしまう人も少なくありません。 まだ熟成の最中なので,ヴァラエタルやブレンドによっては、ダックホーンの ハウエルマウンテン・カベルネのようにタンニンがあばれまくり、渋味が前面に 出ているステージのワインもあれば、セインツベリーのブラウンランチ・ピノのよう に、十分アプローチアブルなものもあって、実に千差万別 。 私が、ノックアウトされたのは、アリエッタのメルロー75%&シラー25%のブレンドで した。うっかり、ぜんぶ飲みほしてしまいましたとさ…。

ダラ・ヴァレはシンプルにエステートのカベルネ100%です。 しかし!一番人気のダラ・ヴァレには、人が群がり、近づくこともできない状態。 本当に「あっ」という間に、この日のために用意したテイスティングサンプルが空に なり、ミア・クライン女史もナオコさんもブースに立つ必要がなくなって、どこかに 行ってしまったのでした…人気者は、ゆっくりできるようになっているのね。

エキサイトするもうひとつのファクターは、オールスター勢揃い!という舞台。 ビバ!でもおなじみのジョン・コングスガード、ルイス夫妻、ダグ・シェイファー、 チャールズ・ヘンドリックス、ハーランエステートのダン、ダラ・ヴァレのミア・ クライン。ロバート・モンダヴィ夫妻に、今やトキの人、ダリア・ヴィアデル…。


〜ジョン・コングスガード&ケイ〜

スペクテーターなんかでしか、見たことのないようなワインメーカーやヴィントナー ズが、満面の笑みをたたえて、自慢のワインをグラスについでくれるんです。 うちのユカリ嬢ときたら、私のイチオシ、リヴィングストンのミッチェル ヴィンヤード・シラーが栽培されている畑のオーナー、ミッチェル氏と握手をしたり モンダヴィ翁のキスを受け、今にも倒れそうなくらい舞い上がり、手のつけられない 状態。彼女は、フランス人ワインメーカー、フィリップ・メルカ氏がいたく お気に入りのようでした。

ケ 「ユカリ、私たちは『プロ』なんですからね。ワインも飲み残しを、ただ捨てる んじゃんなくて、味わい方の練習をしてからに なさいね、聞いてる?」
ユ 「うフん…」
私の注意もウワの空…。

お金持ちのシロウトが集まる、チャリティ・オークションと一線を画する このイヴェント、興奮しているとはいえ、落札する側の思いもまた様々です。 老舗の蔵への落札は、取引ワイナリーとの長年のつきあいを考慮して、 または「ご祝儀」の意味を含めて。 レストランなら、落札したワインには、特製オークションラベルが用意されるので、 「リスト」に載せるためだったり、お店のディスプレイに利用したり。 これをきっかけとして、商談を開始したい、という業者もむろん、あるわけです。

新しいワイナリーへの落札になると、ワインの出来は言うに及ばず、将来性、 風評、ワインメーカーの経歴、エチケットのデザインなど、あらゆるファクターを 考慮した厳しい目が向けられます。 落としたからには、全面 的なバックアップを約束することになるのですから。

このバレルテイスティングとCIAが威信をかけたランチが終わると、 待ちかねたオークションです。 参加者は片手にワイングラスを、もう片方の手にはパドルと呼ばれる入札番号札 を携えて会場に向かいます。 お目当てのワインが出たときは、このパドルをあげて意思表示をするのです。 毎年、最高値を更新し続けるダラ・ヴァレには一体いくらの値がつくのでしょうか? そして誰が落札するんだろう? 今年生まれるスターはどこのワイナリー? いよいよ、緊迫したオークションの中継リポートは後編で! 〜 つづく 〜

後編は、こちらから