涙と笑いのずっこけ感動ツアー リポート DAY 3-後編

Whats New! Vol.26

4)グレイスファミリー
5)ラッド・エステートでのディナー

4)グレイス・ファミリー
まだ涙目のジョージを筆頭に女性陣は全員、ディックの運転する車に乗り込み (男性陣はバスのままでした、ごめんなさい)念願のグレイスファミリーへと一路向かいます。 畑を説明する時、米国ではエーカーを使いますが、ばくぜんとしていて 大きさはつかみにくいものです。「ヘクタールでも、よくはわからない」という メンバーでしたが、グレイスの敷地内、29号線に面した自宅前の畑は、ちょうど 1エーカー。「あぁ、これを基準にして、この40倍とか100倍を想像すればいいんだ」。

説明を聞いて喉のつかえが取れたようにすっきり納得の一行が、最初に案内されたのは、 邸地下にある大きなカーヴです。TVや雑誌でしか見たことのない、その美しいカーヴが今、目の前に…! うっすら埃をかぶった1929年のシャプティエのシャルドネーやら、30年代のロマネ・コンティに60、70年代のカリフォルニアワイン…ごろごろしています。1本くらい、もらっても、絶対わからなさそう(笑) 圧巻は6リッター、15リッターなど、グレイスファミリーを始めとするプレミアムワ インの数々。仏像のペイントがほどこされたり、エッチングしてあったり、市場では けしてお目にかかることの出来ないワインたちが何気なくおかれています。 写真をバチバチ撮るのは、はばかられたので、サイトでご紹介できないのが残念。
セラーの大きさのわりには、極端に少ない「グレイス」のライブラリー・セレクションのコーナー。
設立時からの各ヴィンテージ、ほーんの少しずつしかありません。


今年90歳になるケイマスの創業者、チャーリー・ワグナーはディックにとって お父さんのような存在でした。1978年、果樹園だった1エーカーを葡萄畑に 植え替えたディックは、初めての収穫を終え、意見を彼にあおぎます。 一口、果実をかじったチャーリーは、間髪いれず叫びました。 「こりゃ素晴らしい!全部引き取るよ。グレイスファミリーの単一畑として出そう」

こうして78年、ケイマスの単一畑、グレイスファミリーが誕生。 82年までの6年間、このスタイルが続く このシリーズ、 今では3000人以上が、ウエィティング・リストに名を連ねる グレイスファミリー・ヴィンヤードの第一歩でした。

その貴重な78年も、わずか3本しか残っていません。 ビバ!の読者は、その理由がもうおわかりですね。 みんな子供達をサポートするために、寄付してしまうから。 「ワインはみんなで、シェアするものだから。僕ひとりでは、とても 出来ないサポートを、このワインたちとワインを愛する人、 そして子供達の将来を真剣に考える人達が叶えてくれるんだ。」

子供達の話をする時のディックは、本当に少年のようです。

「ワイナリーが評価されたり有名になってくると、それを誇りに 思い、固執する人がいる。当たり前のことだ。僕も10年くらい前まで そんな感じだった。そうじゃないって、気づかせてくれたのは、 普通の人達より努力をしなければ命をつなげない子供達だった。 僕にとってのヒーローそして人生の師は、いつもまっすぐ前を見つめる子供たちの瞳。 痛みと闘いながらも、小さな手のひらをいっぱいにひろげて、 明日を夢見る、その素直さに触れるたび、今までなにをしてきたんだろう、って 思った。自分の手で、勝ち取ったと信じていた経済力や名声が、 すごくちっぽけなものに感じた。きれいごとに聞こえるかい? それは…経験すれば、わかることだ。いや、経験しなければ、気づかないことだな。

今は、このワイナリーと、それをとりまく全てのものが、さずかりものだと心から思えるようになった。ワインを造っていたから、子供達と一緒に 歩いてきたから、今日こうして、はるばる日本からの大切な友人を 迎えることもできた。本当によく来てくれたね、みんな。ウエルカム トゥ グレイスファミリー」

ひんやりとしたワイナリーに場所を移し、10月に収穫したばかりの ワインを、グラスにそそぐディック。 ワインはシェアするもの、とわかっていても…みなさん期待に 胸がふくらむと同時に、ちょっと緊張気味。 「2000年のヴィンテージは、ケイの手の匂いがついてて 味がいつもより いいかもしれないぜ。収穫を手伝ってくれた中で、一番スローだったから」 ディックがジョークをとばして、笑いをさそいます。

「今年はいっぱい、できたからね」 笑うディックが自慢するバレルは、わずか12樽。 ハイジ・バレットは、タンニンの扱いが非常に上手で、エレガントな 造りをするワインメーカーだから、きっと思ったより ずっとまろやかだったでしょう。エレガントさはグレイスファミリーの代名詞です。

ディックの意を汲んだ心優しきメンバーたちは、グレイスファミリー基金に寄付をしてくださいました。ありがとう、本当にありがとう。 みんなの気持ちにうたれ、嬉しそうなディック。 ベストヴィンテージといわれる「87年のエチケット」のポスターに名前と メッセージを入れて、ひとりひとりに、プレゼントしてくれたのでした。

5)ラッド・エステートでのディナー
業界が重用する「レストラン ワイン」誌で、2001年の ワインメーカー・オブ・ザ・イヤーに選ばれし、鬼才デーヴィッド・レィミー。 背が高く、ひげをたくわえ、がっちりした体躯からは想像ができないほど 繊細でまろやかな、卓越したトップレベルのシャルドネーを造ることで つとに有名な醸造家です。 彼の造りだすワインには、誰もが納得する美学が感じられると、信じている私。 ナパでの最後の夜、カーヴの中に、品良くセッティングされたテーブルと 彼を囲んでの、なごやか かつ超ためになるディナーが始まりました。


〜ラッドテーブルセッテイング〜

デーヴィッドは、UCデイヴィス校で醸造学を修めた後、フランスに渡り 【ペトリュウス】のセラーで働いていました。帰国後は、 【シミ】【マタンザス・クリーク】【ドミナス】など名だたる蔵でワインメーカーと して活躍、現在は、この夜のディナー会場になっている【ラッド・エステート】そして 自身のブランドである五つ星に輝く【レィミーセラー】に専念しています。

ツアーリポートDAY2で、お話したように、知的で静かだけれど、ほとばしる情熱を感じさせるデーヴィッドの顔に見とれ、話を聞いていなかった私ですが ツボはおさえましたゾ。

*ワインに含まれるタンニンの質と量の違い。
*ヴァラエタル別葡萄樹、植えるときの畑の選び方。
*畑のオーナーとの仲良し度で決まる、単一畑の葡萄ゲット法。

たとえば、カネロス地区のハイド・ヴィンヤードのシャルドネーを現在 使っているのは、レィミー、キスラー、パッツ&ホールだけ。 ハドソン・ヴィンヤードは、同じくレィミー、キスラー、そしてマーカッシン。 でもマーカッシンは、ハイドを失う運命にあるらしい…。

どれをとっても、そのお話だけで一回のメルマガ打ち止め!くらいの量になりそうなので、これも宿題にしておきましょう。 あとで、宿題、整理しないといけませんね。

今回参加してくださったワインショップオーナーは、なんとお店の棚の6割がカリフォルニアで埋め尽くされ、客がフランスやイタリアものを手にすると、  「ちょっと!お客様!こちらにいいのが入ったんですよ〜」と言いながら 無理矢理、カリフォルニアをすすめるほどのエライ人。 その話を聞いたデーヴィッドの喜ぶまいことか。 「なんて素晴らしい人なんだ!そういうショップばかりだといいねぇ(笑) ところで、Gさんのお店の品揃えは、どんな感じなのかな?」

「そうきたか…」
頼みの綱の、本物ワインショップオーナー夫妻や六本木にあるカリフォルニア・ キュイジーンのお店=スパーゴのスタッフは、はるか遠くに座っていて楽しそうに談笑してます。 「ど、どうしよう」
「うちのリストは、ほとんどフレンチが中心なので、これを機会にカリフォルニアに も力を入れるようにしますわ、オホホ」 私は大切な黄金のしずくを、思い切りふきだしそうになりながら、それでも にこにこ耐えました。あっぱれ、ジョージ!


〜ラッド バレルの前で〜

あやしい地中海料理のマダムや、眼の手術が得意そうなワインショップのオーナーに囲まれ、科学者がタンニンに関するシャープな質問をしてくれたことも手伝って 「素晴らしいお客様をお迎えできて、本当に今夜は最高!」上機嫌のデーヴィッド。 美味しい料理に最高の蔵出しワイン、おそらくワイン学校の講師たちが 「眼からうろこ」の講義を受けて、あっという間に時間がたっていきました。 みんなでハグをかわし、バレルの前で記念撮影をして、ナパ最後の夜をしめくくるに ふさわしい、素晴らしいひとときとなったのです。

「えーと明朝は、チェックアウトした状態でロビーに9時45分に集合! 遅れないでくださいねっ!時間厳守ですッ!」 この後、私のスイートルームでメンバー全員参加の宴会が、開かれるとは 夢にも思わず、最後の声をふりしぼった渡辺ケイでした。 みなさん、まだまだ元気です。

DAY 4に続く