vol.3 オーパス・ワン 20アニヴァーサリー レセプション
訪れた方はもちろん、雑誌などでよく見かけるピラミッドを彷彿とさせるワイナリーの外観をご記憶のむきも多いでしょう。まばゆいばかりにたたずむ白亜の支柱はまるでギリシャのパルテノン神殿を思わせるようです。今年で20周年を迎えたオーパス・ワン。10月14日(木)、そのワイナリーを豪華なパーティ会場に変身させ祝いの宴が開かれました。入り口でシャンパンを受け取り歩を進める先には、今年85歳の誕生日を迎えたロバート・モンダヴィ翁を筆頭に奥方のマルグリット、フィリピーヌ・ロッシルド(日本ではロスチャイルドとかロッチルドというふうに表記されていますが、英語読みの発音ではこれがもっとも近いと思います)、マイケル・モンダヴィ…と一同並んでゲストのお出迎えです。「久しぶり!よく来てくれたね!」ボブ(地元ではロバート・モンダヴィをこう呼びます)からウエルカムキスを受け、フィリピーヌのたくましい抱擁の後、いよいよ会場内へ。
正面にはオーパス・ワンのロゴの大きな氷の彫刻、オードヴルのテーブルが点在し、各コーナーにはセレクトされた4ヴィンテージとグラスが並ぶ会場は世界中からお祝いにかけつけた人達であふれています。ワイン専門誌「ヴィノテーク」の有坂さんともばったりお会いしました。いそいそとワインのテーブルに近づき、しばし観察。一番人気の86年のマグナムのほか88年、92年、そしてリリースされたばかりの96年がたーっぷり用意されています。全てのヴィンテージを少しずつ頂いて試飲(とはいわないか)。パーティなんだからゆっくり飲めばいいのに、つい癖で…。まぁ96年の素晴らしいことといったら!もちろんオーパス・ワンの特徴である、しなやかさとこくのある深みそして力強さと優美さは、このヴィンテージにも例外なく息づいています。ふたり一致した意見でしたが、4つのヴィンテージを飲み比べるとその完成度の高さが本当に際立つ出来栄え!
ワインメーカーであるティム・モンダヴィとパトリック・レオンからの解説をちょっとご紹介しましょう。セパージュはカベルネ・ソーヴィニヨン86%、カベルネ・フラン8%、メルロー3%、マルベック3%(このヴィンテージにはプティ・ヴェルドーがはいっていません)長雨がたたって全体(ことにマルヴェックとメルロー)の収量を落とすことになった96年の春。そして夏にはヒートウエーヴが糖度を一気におし上げ、いつもより早い熟成をうながしました。そして例年より涼しい9月の気候が長いハンギングピリオドをもたらし、タンニンをやわらかくする結果となったのです。
やわらかなすみれやミントのノーズ、ブラックベリーや黒すぐり、チョコレート、ローストコーヒーの凝縮したフレーバー。しっかりとした造りとエレガントなボディがなめらかな舌ざわりと深みのあるフレーバーを支えています。卓越したバランスのよさとフィニッシュは長期熟成をもってさらなる質の向上を約束するものです。
むろんボブとフィリピーヌの喜びようは、はたで見ていても嬉しくなるくらいでした。心からの誇りを持ってニューリリースのヴィンテージと、そして紆余曲折の20年をわかちあう笑顔のスピーチは全てのゲストのハートを熱くしてくれたのでした。ちなみにボブのスピーチはわすか1分くらい。長ーいそれを期待していた会場は爆笑のうずです。なかなか心憎い演出でダンスタイムになだれこみ、夜更けまで次々とパートナーをかえ、エレガントに踊るボブの姿はオーパス・ワンの優雅さを象徴するようでした。
※リポート内容は取材当時のものとなります