Vol.12-3 2002年ナパ・オークションの旅 第3弾

Ma Jolie Fille Pinotsqué > Archive > Vol.12-3 2002年ナパ・オークションの旅 第3弾

再びオークション会場に戻ってきました。ガラ・ディナーや本番直前のランチの模様、史上最高値記録保持者のプロフィールなど盛りだくさん!

  • 会場のテーブルセッティング
  • ディナーで供される3リッターボトル
  • ボトルを持ってパレードするヴィントナーズ

自家用ジェット機やファーストクラスのフライトでかけつけるゲスト達が、4日間で達成した地元施設への寄付金額は7億4千万円。毎年6月第一週に開催されるこのワインオークションは、何もかもが桁外れのスケールであります。
ライヴ・オークション前夜に待ち受ける華麗なガラ・ディナーも、ゲストたちの期待を背負うステージ。今年の栄えある総料理長に選ばれしは、NYに君臨する「ル・サーク」(Le Cirque)のシリオ・マッチオーニ氏。テーマと同じ名前のレストランとは粋なはからいです。「N.Yのお店」から総料理長を招くことに意義があったのだと思います。
各ワイナリーから3リッターのボトルが寄贈され、オーナー自ら抱きかかえてディナー会場に華やかに入場とあいなります。まぁ、今年はテーマを意識してヴィントナーズもゲストも仮面舞踏会さながらの、いつにも増して華麗なる装い。みなさんのマスクはマスカレードのような立派なもの。カール・ロウレンスのマイクも、フロリダから来たゲストもサイトで必見です。ドレスアップした私が縁日の屋台で売っているようなピカチュウの面をかむっていたら、絶対ウケて注目の的だっただろうなー(笑)。米国でも「ポケモン」は知らない人はいないというほどの大人気。ちと準備が足りませんでした…。

  • カール・ロウレンス
    ワインメーカーマイクと恋人
  • フロリダから来たゲスト
  • サンフランシスコ・
    49rs監督スティーヴ・マリウッチに
    ヴィントナーズも騒然

そしてメイン・イヴェントのライヴ・オークション当日、テイクオフ前の腹ごしらえは重要です。「Pride of Napa Valley」と名づけられた、芝生の緑がまぶしい米国屈指の高級リゾート「メドウウッド」内に、ところ狭しと並んだ縁日の屋台さながらの出店でカジュアルランチとしゃれこむのです。おなじみトーマス・ケラー率いるフレンチ・ランドリーを筆頭に、ドン・ジョヴァンニ、ピノ・ブラン、マーティニ・ハウス、ルー、ZUZUなど、ナパ屈指のレストラン群がズラリと並ぶ。全米No.1と目されるトーマス自ら、シグネチャー・オードヴルであるサーモン・タルタルをゲストに手渡すさまは、ほかではけしてみることのできない光景でしょう。緑が反射する芝生にたたずみ、トレイで運ばれてくるシャンパングラスを受け取りながら、のんびり長い列を作り思い思いの看板料理に舌鼓をうつ。決戦へ向けて心の準備をするゲストたちの表情も上気しています。
長きにわたりチャリティの精神が根付いている米国では、節税対策もかねて各州から大富豪達が「人助けのためのワイン獲得」に奮い立ちます。慈愛と歓喜そして熱狂の6時間、さらなる別世界への扉が開かれる瞬間が近づいてくる…。今年のロット数は140。人々の好奇心と期待が頂点に達する緊迫した雰囲気の中に形容しがたい空気が流れ、各々のワイナリーからオークションのためにしつらえた様々なワインが会場に届けられ、落札の瞬間を待つのです。今年は星条旗や自由の女神などをモチーフにした特製ボトルが目立ちます。

  • オーベルジュ・ド・ソレイユ
    シェフ&マネージャー
  • シグネチャー・ディッシュを
    手渡すフレンチ・ランドリーの
    トーマス・ケラー
  • ランチタイムのスタッフは大忙し!

今回で3度目を数えるVIVAのオークションリポート。初期の頃からの読者には、記憶の隅にあるかもしれないハーラン・エステートのマグナムのワインはすべて友人達と一緒に飲み干したという豪快な夫妻。今年も見事に落札したこの9本は、いったいいつ抜栓するのでしょうか。

  • ハーランを落札したルイジアナの石油王
    「アダムス夫妻」
  • ハーランを落札したルイジアナの石油王
    「アダムス夫妻」

今では各国のメディアから取材が殺到する恒例イヴェントに成長したナパ・オークションの始まりは1981年。発起人はカリフォルニアワインの王として君臨するロバート・モンダヴィでした。掲げられたミッションは今も変わることなく受け継がれています。
1) 地元施設への寄付金を募ること
2) NVVA(ナパヴァレー生産者)によるコミュニティへの貢献
3) カリフォルニアワインのプロモーションの3つのテーマ

バレルオークションはフランスの「プリムール」にならったといいます。ライヴ、バレル、プライヴェート・ドナー、そしてアート・オークション。会場にあるすべてのオブジェとワインはオークションの対象になります。こうして集まった寄附金は、累積48億円。20余年にわたり、地元の病院をはじめ様々な施設に贈られてきたのです。寄付金は免税になるという米国の税制も相乗効果を担い、節税対策を兼ねながら「お気に入りのワインを楽しむこと」と「人助けができること」が両立できるこのイヴェントは、今年もたくさんの人々を支援することができたのです。政府からの限られた割り当て予算に頼ることなく、自助努力で地元に貢献、カリフォルニアワインのプロモーションを図ることに成功した、偉大なるワインの産地ナパです。

※リポート内容は取材当時のものとなります

archive一覧に戻る